春季限定いちごタルト事件

暁もがくちんも「良い」と言っていたので、読んでみました。


読みやすい文章で語られる、社会との距離を上手く設定できない二人の青春物語です。
CPUはそこそこ優秀だが、稼動し始めると周りを無視して好奇心を最優先してしまう小鳩君。
CPUは超優秀で、優しく生きたいがために攻撃的。理由なく小鳩君にべた惚れな小佐内さん。


二人は自分たちの中にある選民思想に嫌気がさして、社会に適合しようとあがきます。
でも、我慢できずに行動してしまい、少しずつ不満がたまっていって・・・
若者の抱える「自己矛盾に対する嫌悪感」を上手く表現できていると思います。


一番の魅力はやっぱり「小佐内さん」ですね。
『小さくて自分勝手な俎板娘』と、記号的には申し分のない性能。
読み進めていくうちに、その愛らしさと満たされない寂しさにぞっこんになります。